ワカサギはたくさんの虫がわく!?
ワカサギと言えば、氷に穴を開けて釣るのが特徴的な『氷上穴釣り』が有名です。そんなワカサギの語源は、少し気持ち悪いストーリーから由来しているのをご存知でしょうか?
ワカサギの「ワカ」という言葉は「虫がわく」という意味です。魚に限った話ではないですが、動物には寄生虫がつきものです。この話だけを聞くと「寄生虫がわきやすい魚なのかな?」と勘違いする人も多いでしょう。
ワカサギの「サギ」には、「数が多い」という意味があります。意味だけを繋げると「虫がわくことが多い」「たくさん虫がわく魚」なんていうかなりマイナスなイメージになってしまいます。ですが「ワカサギ」という言葉は、たくさんの群れを作って生活している、ということを表現したものであり、決して寄生虫が多い魚というわけではありません。
また、ワカサギの「ワカ」を漢字の「若」と捉えて、身体が弱々しい「サギ(小魚)」という意味から、ワカサギと呼ぶ説もあります。
元々ワカサギは海にも住んでいる魚
先ほどお伝えした通り、ワカサギと言えば『氷上穴釣り』が有名です。これは、氷が張った湖にアイスドリルで穴を開け、そこから釣り糸を垂らしてワカサギを釣る方法です。この「氷上穴釣り」はかなり有名で、冬季にはニュースなどで頻繁に取り上げられたり、バラエティー番組にもよく出てきます。
あまりにも『氷上穴釣り』が有名なので、ワカサギは主に湖に生息している魚だと思う方も多いのではないでしょうか?
しかし、実はワカサギという魚は元々は海、川、そして湖を点々と移動していく魚です。ワカサギは海水から淡水へ適応する能力が非常に高く、そのために日本の全国各地の湖に放流されました。そのために今の日本の湖にはワカサギが多く住んでおり、寒さが厳しい地方では主に「氷上穴釣り」が流行っています。
ワカサギによる問題
一般的にワカサギがいる湖は、水が綺麗だといわれています。しかし、中にはもともとワカサギが存在していなかった湖もあるはずです。ワカサギには、そこに住んでいた魚を直接攻撃するような能力はありませんが、湖の中のプランクトンなどを集中的に食べてしまいます。コレが理由で、他の魚が少なくなっていくこともあります。
全国への放流によって、生態系が狂ってしまった例として、ブラックバスも有名です。たしかにワカサギは、ブラックバスほど激しく生態系を狂わせてはいません。しかし、ワカサギをむやみに放流してしまったことが理由で、「ワカサギしか生息することができない湖」に変わってしまった湖もあると考えられています。
ワカサギが生態系を狂わせた可能性があるとはいえども、ワカサギを日本中に放流したのは人間です。ブラックバス等といった、目立った生態系の変化ばかり気にしていてはいけません。私たち人間は、小さな生態系の変化にも気を配るべきです。そうでなければ、やがて大きな問題に発展するかもしれません。
ワカサギの存在は「氷上穴釣り」といった、人間にとって楽しいレジャーとなっています。しかし、ワカサギにとって人間は敵ですし、他にも多くの魚や鳥等にも天敵がたくさんいます。果たして、人間によって放流されたワカサギにとって、湖は住み良い場所といえるのでしょうか?
ワカサギにそっくりな魚?
ワカサギにそっくりな魚がいるのをご存知でしょうか? ワカサギと同じ「キュウリウオ科ワカサギ属」で、チカという魚がいます。このチカという魚は、見た目がワカサギとかなり似ています。昔はチカとワカサギの外見がソックリだったため、チカは「ワカサギと同じ魚」として売られていたこともあるそうです。チカはワカサギに比べて値段が手頃で、ワカサギと同じように、天ぷらやフライなどで食べると美味しいといわれています。
(Photo by René Reyes, Peterson, B. Moose, Andrea Pokrzywinski)