ブラックバスとは
ブラックバスはアメリカから持ち込まれた外来種の魚で、本来の名前は「オオクチバス」といいます。ブラックバスは好奇心が強く、また獰猛(どうもう)で攻撃的です。さらに魚食性(ぎょしょくせい)が非常に強いため、日本の在来種を食べて、生態系を狂わしてしまう存在であるといえます。現在では、ブラックバスは日本全国に住んでいるため、魚の生態系の破壊が危惧(きぐ)されています。ですから、放流や釣ったブラックバスを持って帰り、飼育した場合、法律違反で罰せられます。
ブラックバスには色々な問題がありますが、多くの釣り人から人気があります。また芸能人がテレビでブラックバス釣りを楽しむ場面がテレビ放映され、さらに人気に拍車がかかりました。そして現在では、300万人ものブラックバス愛好家がいるといわれています。
シーズンによって行動パターンが異なる?
ブラックバスは季節によって行動パターンが変わるといわれています。
春にはメスのブラックバスが産卵を行うため、雄は卵を守るようになります。元々獰猛な性格のブラックバスが更に気を立てている時期なので、簡単に釣ることができます。
夏はブラックバスも人間と同じように、温度があがると夏バテします。これが理由で、ブラックバスは水温が低い場所を求めるようになるので、主に日陰などに移動します。
秋はブラックバスの捕食が活発になり、最も釣りやすい季節といえます。
冬になると、活発な活動をするブラックバスも動きが鈍り、ルアーに近づくことはほとんどありません。
このように、ブラックバスには非常に多くの行動パターンがあります。ですからブラックバスを釣るためには、たくさんの知識と高い技術が必要になります。「普通の方法では、ブラックバスを完全に攻略できない」というのも、ブラックバス愛好家の心をくすぐるのでしょう。
ブラックバスは食べられるのか?
ブラックバスは非常に生臭いため、あまり美味しいイメージがありません。しかし、しっかりと調理すれば美味しく食べることもできます。
ちなみに、一番気をつけなければいけないのが、加熱などをせずに生のブラックバスの身を食べることです。ブラックバスは有名な悪食の魚で、何でも食べるため、寄生虫などが多く、生の刺身などで食べるのは大変危険です。ブラックバスを食べる時は、フライするなど加熱することが重要です。
ブラックバスの爆発的な分布は意図的なものだった?
ブラックバスはたった30年の間に、日本における生息地域を爆発的に広げていきました。現在では日本のあらゆる場所でブラックバスが生息しています。
ブラックバスが爆発的に広まったことから、他の魚の生態系を狂わせる危険性があるとして問題視されています。ところがこの背景には、「人間が意図的にブラックバスを放流した」という事実があります。
ブラックバスはアメリカなどでも人気が高く、そこから日本でも人気が集まるようになりました。それで、ブラックバス釣りを楽しめる場所を増やしため、密かに放流されてきました。その結果、現在の日本全体にブラックバスが生息することになりました。
ブラックバスの悪影響に対する愛好家の意見
ブラックバスが日本中に多く生息していることから分かるように、愛好家もたくさんいます。やはりブラックバスのファンですからブラックバスを擁護(ようご)し、「生態系が崩れているのは、ブラックバスだけが原因ではない」と意見する人が多いようです。
しかし、ブラックバスの異常な分布が日本の生態系を狂わしていることも明確な事実ですから、ブラックバスを完全に擁護することはできません。
ブラックバス釣りが楽しいとはいえども、日本の生態系を狂わしてしまっていることに対して、愛好家も問題意識を持つことが必要といえるでしょう。
愛好家の間では、釣ったブラックバスを、しっかりと責任を持って食べるという動きも広まっているようです。
すでにブラックバスの日本分布図は取り返しのつかないものになっているのかもしれません。しかし、こういった地道な意識と取り組みによって、本来の日本の生態系を取り戻せることができればいいですね。
(Photo by Engbretson Eric, sakapibara, Leefon, Jonathunder)