鯨という漢字の由来

鯨という漢字は「魚」に「京」と書きます。この京は、「数字の単位である兆のもう一つ上の桁」のことで、大きさが計り知れないという意味があります。
ちなみに、どうして哺乳類の鯨に魚へんが使われているのでしょうか? それは、昔の人に哺乳類という概念が存在せず、鯨を魚の一種だと考えていたからといわれています。

日本人と鯨の関係は縄文時代からあるらしい

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日本人と鯨の関係は、なんと縄文時代にまでさかのぼります。縄文時代につくられた土器には、鯨の骨を利用して作った痕跡が発見されています。
しかし、縄文時代といっても鯨の大きさが小さいわけではありません。近代とは違い、鯨の捕獲の方法が確立されているわけでもなければ、有効な道具があったわけでもないようです。
それでは、縄文時代の人々はどうやって鯨を捕らえていたのでしょうか?

実は、縄文時代では鯨を捕らえていたわけではなく、死んで漂着した鯨の死体から骨などを採取していたと考えられています。

ですが、捕鯨が行われるようになったのは、弥生時代からといわれています。 縄文時代の次の時代には、もう日本人は巨大な鯨に立ち向かう術を考え始めていたといえます。それだけ、鯨が日本人にとって大切な動物であったのでしょう。

鯨の声は何のためになるのか?

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鯨は声で他の仲間とコミュニケーションを取ります。これは巷では「鯨の歌声」と呼ばれています。水中は視界が悪く、また鯨の嗅覚(きゅうかく)はあまり発達していません。鯨は、サメのようにニオイを嗅いで仲間の居場所を特定することはできません。水中において、音の伝達速度は非常に高く、鯨に限らず海の哺乳類は声によるコミュニケーションを使って暮らしています。

日本の捕鯨に対する反発

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じつは捕鯨には、日本の水産資源を守るという大きな役割があります。日本は多くの食糧を他国からの輸入に頼っている一方で、海に囲まれた国ですから、水産資源が豊富にあります。

日本の捕鯨に対し強く反発している団体のなかに、海洋環境保護団体「シーシェパード」という団体があります。1977年にポール・ワトソンによって設立されたこの団体は、過激な活動をすることで有名です。近年では日本の捕鯨船に、シーシェパードの船が衝突するという事件もおきています。

先ほど伝えた通り、日本が捕鯨を続ける理由は、自国の水産資源を守るためといわれています。これはどういうことかというと、シーシェパードのような抗議活動に屈してしまったり、譲歩をするとします。すると、鯨だけではなく、日本が必要としている水産資源に対してどんどん抗議が広がっていってしまう可能性があるのです。ただでさえ食糧の自給率が低いのに、豊富にある水産資源もとれなくなってしまうと大変なことになります。自国の食料自給率が低い日本は捕鯨を続けることで、そういった状態に陥ってしまうことを防いでいるといえます。

鯨は日本にとって神様であった

古来から日本にとって鯨は、えべっさんと同じく漁業の神として扱われてきました。昔、魚の群れを見つけ出す技術がありませんでした。一方で鯨には、「魚の群れを見つけ出す」能力があったため、日本人にとって食料を確保する案内人のような役割を持っていました。縄文時代から鯨の恩恵を受けて生きてきた日本人にとって、鯨は神聖な存在であり、鯨を神様として扱ったのは自然な流れだったといえます。

日本では、近年の捕鯨活動に対して、色々な方面から反発を受けています。ですから、日本人の中にも「日本は鯨に酷い扱いをしているのではないか?」と思った人も多いでしょう。

しかし、決して日本が鯨をないがしろにしているわけではありません。むしろ、日本人は鯨を神様として崇め、日本の生活に無くてはならないものとして大切に扱っています。
日本の捕鯨活動を妨害している団体も、「日本人が鯨を神様として扱っている」ことを理解すれば、考え方を改めてくれるのではないでしょうか?
(Photo by Gillfoto, Gabriel Barathieu, Zorankovacevic, Someone35)

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