路面電車のあの呼び名の由来は?
車と同じように道路の上を走行する路面電車。いまは数が減りましたが、それでも九州方面の地方では現役で活躍しており、愛好家たちによって根強い人気を持っています。
似た形状の乗り物としてトロリーバスがあります。これは、道路に線路をひかず、道路の上に張られている架線から電気を供給して走るバスです。建設費用、場所などの制約が少ないため、こちらが普及し、次第に路面バスは姿を減らしていってます。
路面電車、またの呼び名を、「ちんちん電車」と言いますね?さて、なんでちんちん電車なんて名前なのでしょう?この呼び名は、もちろん正式名ではなく通称なのですが、こう呼ばれるようになった理由は、二つの説が挙げられています。
フートゴング説
一つ目は、「フートゴング」と呼ばれる、運転士が通行人に対して警報に使うための、床下に付いている鐘が元の説です。警鈴とも呼ばれます。機関車で言う警笛の役割ですね。これを運転士が鳴らした音から、ちんちん電車と呼ばれるようになったのでは、と言われています。
合図のベル説
もう一つは、運転士の使う合図のベルの音が由来ではないのか、という説です。これはフードゴングとは違い、運転士、または車掌が、もう一方の運転士、車掌に対して合図を送る時に使用したベルの音が、ちんちん電車の由来ではないか、と言われています。
この合図、鳴らす回数によってその合図の意味が変わり、使い分けられていました。
「チン」と、1回だけベルを鳴らすと、「人が降りるから停車しろ」という合図です。
「チンチン」と、2回続けてベルを鳴らすと、「降車をする人がいないから降車場を通過する」と言う意味と、その返事として、「通過しても良い」という意味になります。
さらに、3回以上連続して、「チンチンチンチン」などとベルを鳴らすと、「すぐ停車しろ」や、「非常停車するぞ」などの意味になります。
この音の中で、恐らく一番呼び名に良い長さの、「ちんちん電車」という呼び名になったのでしょう。合図の意味通りに捉えると、「降車をする人がいないから降車場を通過する電車」になりますね。
このベルでの合図、今では廃止されている所もありますが、都電荒川線、阪堺電気軌道では、全ての車両で聴く事ができます。ただし、現在の使用用途は、乗客に対する発車合図に限定されています。他の路面電車では大体ブザーに置き換わっています。
生活の中に溶け込む文化、大切に守っていきたいですね。
(Photo by Pontauxchats, Light current)