潜水艦は思いのほかに古くから
一般的な「潜水艦」というイメージにあったものは近代になって出来上がったものですが、「乗り物で海の中を進む」という話に広げれば相当昔から登場します。
例えば、アレキサンダー大王がガラス玉に入って水中を遊歩したというものがありますが、時代からすると紀元前4世紀ごろの話になります。また、実際に潜水艦として作られたアイデアとすると、レオナルド・ダ・ヴィンチが原型といえそうなスケッチをしています。
潜水艦の発達は軍事と共に
実際に潜水艦を形にしようとしたのはその背景に軍事的な事情がありました。アメリカ独立戦争の時に作られた「タートル号」という潜水艦は、船の船体に穴をあけて火薬を詰めた樽を詰め込み爆発させるというものでした。アイデアとしては良かったのですが、思った通りの活躍はできなかったようです。
実際に活躍ができる程の潜水艦が現れるのは、そこからさらに150年程の時が必要でした。第一次世界大戦時のドイツは当時の海軍大国であるイギリスと戦端を開く際に対抗できる手段としてUボートを建造。そして第二次世界大戦の時のUボートはついにイギリスに敗北を覚悟させるほどの戦果をあげることとなりました。
科学の進歩はついに
Uボートは正確には「潜水もできる船」でした。それでもここまでの戦果をあげることができたため、第二次世界大戦が終結後も各国で研究がつづけられました。そして、「空気のいらない動力」と「艦内の空気を永久に循環させる手段」が生まれることでついに原子力潜水艦が生まれました。これは、いつまでも潜水し続けることができて、強力な兵器を搭載する恐るべき存在です。
現在ではその原子力潜水艦に弾道ミサイルを搭載したものも生まれています。流石にこれほどの潜水艦を保有できるのはアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の大国に限られていますが、世界の安全保障上の脅威の一つともなっています。
平和のための潜水艦利用
軍事に限らず深海にはまだ色々と知られていないことがあります。それを調べるには、深海に行くことが一番早いのは言うまでもありません。そのために生まれたのは潜水調査船です。日本製では「しんかい6500」があり、この船は6500mまでであれば調査観測が可能です。
この深度まで潜れる潜水艇は、世界に7隻しかなく、南極と北極以外は全ての海を潜ったことがあるしんかい6500は日本のみならず世界の深海調査研究の中核を担う重要な役割を果たしています。
(Photo by Yamaguchi Yoshiaki, Carol M. Highsmith, Mukasora)