スペースシャトルは世界初の宇宙往還機
スペースシャトルは1981年に初飛行し、退役まで135回の飛行を重ねた世界初の宇宙往還機です。スペースシャトル以前の宇宙船は全て使い捨てのもので、宇宙往還機は計画や開発は行われていましたが、実際に飛行することはありませんでした。
1960年代のアメリカ合衆国空軍の極秘調査により「一部再使用型の宇宙船が最も安上がりの方法である」と判断されたため、本格的な調査開発が開始。そして、1969年に当時のニクソン大統領がスペースシャトル計画を正式に決定しました。
その後、飛行可能なスペースシャトルは6機製造され、その内宇宙に行けるように製造されたのは5機でした。しかし、スペースシャトルの一回の飛行にかかる費用は当初の想定予算よりも高い金額がかかってしまい、結果として使い捨ての宇宙船を使うよりもはるかに高いコストをかけることになったのでした。
実は飛べないスペースシャトル
宇宙へと向かうスペースシャトルが飛べない、と言うと首をかしげる人も沢山いることでしょう。ですが、実はスペースシャトルは大気圏中を飛ぶことはできないのです。ではどうやって宇宙に行き、どうやって帰ってくるのでしょうか。
スペースシャトルの燃料は、そのほとんどが打ち上げの際に使いきられます。帰ってくる時の推力のほとんどは、重力によって得られます。つまり、スペースシャトルは着陸時はグライダーと同じ要領で帰ってくるのです。
そのため、着陸にはやり直しが行えず、着陸地点の天候は厳しくチェックされて、もし天候が悪いようであれば他の着陸地点に着陸します。そして、大気圏中を飛ぶことのできないスペースシャトルは、シャトル輸送機に乗せられてケネディ宇宙センターへと帰ることになるのです。
スペースシャトルと日本人
今まで宇宙に行った日本人は全員で9人います。そして、一人で複数回宇宙に行った人もいるため回数に直すと16回になります。その内の実に12回がスペースシャトルによるものなのです。
主に宇宙環境を利用した様々な実験や、国際宇宙ステーションの組み立て、補給など数多くの作業に従事しており、長期滞在の人も多くなったため、日本人の宇宙滞在時間は世界でも第三位となっています。このように、日本人と宇宙との関わりにスペースシャトルはとても大きい役目を担ってくれました。2011年7月にスペースシャトルは退役することとなりましたが、今もなお日本人にとって最も近しい宇宙船であることは間違いないでしょう。
(Photo by NASA, Challenger crew member)