シャクナゲがヒマラヤ付近にたくさん育つ理由
シャクナゲの花は亜寒帯から熱帯山地まで、幅広くいろいろな地域に咲きます。一般的な花は、人工的に品種改良することも多いです。しかしシャクナゲの場合、野生のものでも変種が非常に多いといえます。
日本国内でも、アズマシャクナゲやツクシシャクナゲなど、数えられないほどの種類があります。また、ホソバシャクナゲやキョウマルシャクナゲと呼ばれる、絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)もあります。また、ヤクシマシャクナゲと呼ばれる、屋久島にしか育たないシャクナゲもあります。
世界中を見渡すと、特にヒマラヤ周辺に多くの種類のシャクナゲが咲いています。実際、ヒマラヤ山脈がある国の1つのネパールでは、赤いシャクナゲ(ラリグラス)が国花とされており、国民から愛されています。
ところで、 高山であるヒマラヤ周辺などは、雪が降るほど寒い地域です。ところが、雪で覆われている地面は比較的あたたかいです。寒さに弱いシャクナゲがヒマラヤ周辺で育つのはコレが理由と考えられています。
シャクナゲとツツジの違い
ツツジは、公園や道路の植え込みなど、様々な場所で咲く花です。しかし、あまりにも種類が多いため、日本ではサツキやシャクナゲ、アザレアなどに分類されています。
しかし、シャクナゲは厳密に言えばシャクナゲ亜属に属しています。ツツジ科ツツジ属ではありますが、他のツツジ属より派生が多く、違う属として分類されています。
シャクナゲの名前の由来
元々、シャクナゲを漢字で書くと石南花となります。これは、本来別の花のことを指しているのですが、日本ではシャクナゲのことを指していると誤解され、この名前になりました。なお、石南と書かれる理由は、南向きの土地で自生しやすく、石の間に生えるからと言われています。
また、シャクナゲは基本的に背が低いです。そのため、1尺に満たない花だからシャクナゲと名付けられたとする説もあります。また、薬として癪(しゃく)を防ぐため、という説もあったり、たくさんの意見があります。
シャクナゲは薬にもなるが、猛毒を持っているため注意しましょう
世の中に咲いている花には、毒を含んでいるものが多数あります。シャクナゲにも毒があり、シャクナゲ亜属に属する花は全て毒を持っています。
シャクナゲにはロードトキシンなどの毒が含まれており、痙攣(けいれん)を引き起こすといわれています。例えば、静脈に注射すると運動麻痺(うんどうまひ)や呼吸困難になることが実験で分かっています。
その一方でシャクナゲは利尿薬として、痛風やリウマチの薬として用いられていました。また、シャクナゲを煎じて飲むと血圧を低めて、腸の運動を促進する効果があると考えられています。
さらに、香港などではシャクナゲ類の葉を石南葉という薬物として扱っており、痛み止めなどの薬として市販されています。本来、中国ではオオカナメモチを石南葉として販売しています。
薬にもなるシャクナゲですが、適量を間違えると大変なことになってしまうので注意しましょう。キャンプなどで自生しているシャクナゲを見つけても、手を出さないほうがいいです。
高嶺の花はシャクナゲのことだった?
昔から、日本では憧れの人のことを高嶺の花(たかねのはな)と呼ぶことがあります。要するに手の届かない存在のことを言うのですが、実はこの花はシャクナゲのことを指しています。この理由は、シャクナゲが高山植物で、私達の日常生活の範囲には育たない植物だからです。
現在、日本でも一般的に栽培されているのは西洋シャクナゲです。日頃私達が目にしているシャクナゲは、欧米で園芸用に品種改良されたため育てやすくて、見た目がとてもキレイです。
(Photo by Qwert1234, Σ64)