海のカワウソと呼ばれるラッコ
ラッコはイタチ科が海に進出したものであると言われていて、川に進出したのがカワウソだと呼ばれています。
日本ではラッコという名前で親しまれていますが、元々の学名も海のカワウソという意味の英語です。日本でラッコと呼ばれているのはアイヌ語にまでさかのぼることになります。英語圏ではsea otterと呼ばれ、これは海のカワウソと言う意味になります。
ラッコという呼び名で親しんでいる日本人にとって海のカワウソという表現はなかなかピンときませんし、可愛らしさが半減してしまったようにも感じますね。またsea beaver、つまり海のビーバーと呼ばれることもあり、ラッコと呼んでいるのは日本だけです。
ラッコは海岸から10キロ以内にいる
日本では野生のラッコを見かけることはありませんが、ラッコは案外海岸の近くを泳いでいる事があります。遠くても10キロ圏内に泳いでおり、カニや貝を食べて生活しています。
また、道具を利用して食べ物を取るのはサルと人間、そしてラッコという珍しい組み合わせで、石を用いて貝の中身を食べます。
ラッコが生息している場所ではウニが消えてしまうとも言われているように、とても大食いな一面があります。貝類に比べ捕食が簡単なことからラッコはウニが好物であると言えます。
わかめに包まるラッコ
ラッコは泳ぐことも出来ますが、水面に浮かんでいることも多いです。また、ラッコは肺呼吸を行っていますから、寝ている間は水の上を漂っていなくてはなりません。
しかし、海の上では潮の流れもありますからただ寝ていただけでは、どこか遠くに流されてしまう可能性があります。そのため、ラッコはワカメや昆布を身体に巻きつけるようにすることで遠くに流されてしまうのを防ぐと言います。
石を利用したりワカメを利用したり本当に賢い動物だと言えるでしょう。水族館であれば流される心配が無いのでそのまま寝ている事がありますが、まれにロープの傍で眠るラッコもいます。
日本と独犴
このように現代では愛くるしい生き物として人気のあるラッコですが、日本との関係はどのようなものだったのでしょうか。ラッコは平安時代には独犴として交易されていたと考えられています。
独犴がラッコを指し示すというはっきりとした根拠はありませんが、通説ではラッコであったという認識として広がっているようです。
また、現在でも日本では北海道東岸で発見されることがあります。ただしこれらは定着して住んでいるわけでは無いようです。しかし、ラッコが目撃されると貝類やウニ、カニなどの甲殻類の水揚げが減少する傾向があるとして漁業の中で問題になっています。
(Photo by Stan Shebs, Mike Baird, Júlio Reis)