チンパンジーは強い
テレビなどの影響で、チンパンジーと言うと子どもの頃の可愛らしいお猿さんといったイメージが浮かぶ方も多いのではないでしょうか。しかし、実際のチンパンジーはとても強く、動物園では猛獣として扱われているほどです。
チンパンジーは大人になると体重が80キロにもなり、その握力は200~500キロもあります。腕力も強く、自分と同じくらいの重さの鉄板を軽々と放り投げたり、車のフロントガラスを素手で割ったりすることもできます。脚力も350キロもあり、垂直にジャンプすると3.5~4メートルも跳ぶことができます。恐るべき身体能力ですね。
チンパンジーの残酷な一面
チンパンジーは気性が荒く、危険な動物です。人を襲うこともあります。野生のチンパンジーの生態では、更に驚くべきことがあります。それは「共食い」。雑食の彼らは、同じチンパンジーの肉を食べてしまうこともあるのです。
チンパンジーは数十頭の群れを作って行動します。そしてライバルの群れと闘った際に、群れの子どもをみんなで食べてしまうことがあるのだそうです。また場合によっては、他のチンパンジーを狩って食べたり、我が子を食べたりしてしまうことも。テレビやショーで可愛い仕草を見せてくれるチンパンジーをよく見るだけに、想像すると恐ろしいですね。
しかし、テレビなどでよく見るチンパンジーの歯を見て笑う仕草は、微笑んでいるわけではありません。「グリマス」と呼ばれるもので、チンパンジーが怖がるときに見せる表情だそうです。仲間内でくすぐり合ったり、追いかけっこをしたりしている時には、笑うこともあるそうですよ。
チンパンジーの知能
チンパンジーが高い知能を持っているということは有名ですよね。では具体的に、どのようなことが出来るのでしょうか。まず、チンパンジーには自己認識能力があります。
鏡に映った自分の像を、他者ではなく自分だと理解することが出来るのです。鏡を見て、顔に付いたものを認識し、自分の顔を触って取り除こうとしたという実験もあるそうです。また、チンパンジーの子どもの瞬間的な記憶力は、大人の人間よりも優秀です。京都大学の霊長類研究所で行われた実験では、9個の数字を一瞬で覚えることができました。
DNAを見ると、チンパンジーのDNAは、ヒトと2%しか違わないのだそうです。ヒトとの違いの1つには、アルツハイマーと闘う酵素の有無が挙げられます。進化の過程でヒトが失ったこの酵素のおかげで、チンパンジーはアルツハイマーに罹らないのだそうです。
(Photo by Ikiwaner, Delphine Bruyere)