東洋と西洋のオオカミの違い
東洋と西洋ではオオカミに対する認識やイメージが大きく異なります。これは歴史と関係することですが、東洋では農耕が西洋では放牧が盛んでした。農耕では、害獣を駆除してくれるオオカミには恐れと同時に敬いの気持ちがあります。
しかし、放牧では、羊や牛を襲うオオカミは恐れと嫌悪の対象でした。ですから東洋では神格化されることもあるオオカミは、西洋では忌み嫌われる存在なのです。オオカミに関する童話を思い浮かべてみてもやはり東洋と西洋ではオオカミの扱い方が大きく異なります。
有名なのは東洋ではもののけ姫、西洋では三匹の子豚があります。東洋と西洋のオオカミのイメージがこのように大きく異なります。
一匹オオカミは嘘?
一匹オオカミとは日本でしばしば利用される表現の一つで自分だけの力で行動することを指します。
ですがオオカミの社会は群れでできており一人で行動することはほとんどありません。オオカミは集団で狩りをしますから、群れをはぐれたオオカミは生きていけないとさえ言われているのです。
オオカミは親と子からなる群れで生活していますが、ある程度子供が成長すると一人立ちしていくことになります。新しく群れを形成するために群れから離れることを一匹オオカミと表現しますから、意味としては少し違ってくるでしょう。
一匹オオカミという意味から見ればやはり慣用句としての意味は正しいのです。しかし、一匹オオカミという言葉からオオカミは一匹で行動するのが基本的だと考えている方がいますが、これは間違いです。
オオカミからできたお手
ペットの犬に対してお手をさせたことは、犬を飼っている人ならあるのではないでしょうか。これはオオカミの習性を引き継いでいる犬だからこそできることなのです。
足はオオカミにとって非常に重要な器官で、狩りをしたり逃げたりする際に足が不自由では上手くいきません。そのような大切な器官を相手に預けるということで信頼を表しているのです。また安心していると言うことを教えてくれていることになります。
この名残から、お手をさせることによって犬が自分に従うようにさせているのです。可愛らしい仕草の中にはこういった意味が隠されているのですね。
ウルフマンは存在するのか
オオカミ人間の歴史は古く旧聖書には既に登場します。多くは神話とされていますが、実際にオオカミに育てられた少女がいたという話も有名です。
西洋ではこのオオカミ人間の寓話が多く、これは装飾され現代にも幅広く作品が残されています。オオカミとしての悪と人間としての善の対比として描かれることから悪のイメージのある西洋で発展したのでしょう。
(Photo by Seney Natural History Association, Patrick Jacob)