シシャモは神様からの贈り物といわれています

シシャモという名前がつけられた由来には、感動的なストーリーがあります。シシャモという名前には、元々はアイヌ語である「スス・ハム」という「柳の葉の魚」という意味があります。どうしてシシャモが「柳の葉の魚」という意味を持っているかご存知でしょうか?

それは、アイヌの人々が語り継いできた伝説に理由があります。その伝説では、病気で苦しむ父を持つ子供がいて、お腹が空いてなかなか病気が治らない父親のために、子供が川岸に行き神様に祈りを捧げました。その瞬間、川岸に生えていた柳の葉が川に落ち、それが次々と魚の姿に変わったというストーリーがあります。シシャモが「柳の葉の魚」という意味を持つのは、このようなストーリーがあるからといわれています。

また、アイヌの別の伝説にもシシャモが登場しています。食糧不足に苦しんでいたという背景があるかどうかはわかりませんが、神様が川に落ちて朽ちた姿がシシャモであるという伝説もあります。どちらの伝説が正しいかどうかは定かではありません。ですが、どちらも場合も神様が、食料がなくて困っている人々を助けてくれるという優しいストーリーといえます。

シシャモの代用品はカラフトシシャモ?

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シシャモはよく一般の家庭に並ぶ、日本人にとって親しみ深い魚といえます。シシャモは日本の魚ですが、もしかしたら私たちが普段食べている『シシャモ』は、”日本のシシャモ”ではないかもしれません。
シシャモは日本固有の魚ですが、実は年間の漁獲高が減っており、現在では1500トンを下回る量しか獲れていません。この漁獲量では、一般家庭に安定供給することは難しいといえます。私達にとって親しみ深いシシャモですが、現代の日本において、日本固有種のシシャモはとても貴重な魚となっています。

私達が普段食べているシシャモのほとんどが、カペリンと呼ばれる魚です。カペリンはシシャモとは別種の魚で、和名をカラフトシシャモといいます。このカラフトシシャモは日本固有の魚というわけではなく、カナダなど海外から輸入されたものです。カラフトシシャモの輸入量は年間で30000トン、つまり日本で取れるシシャモの20倍以上の量です。日本の固有種のシシャモに比べて、カラフトシシャモの輸入量がいかに圧倒的に多いことが分かると思います。もしかしたら私達はカペリンばかり食べていて、いまだに本物の日本固有種であるシシャモを食べたことがないのかもしれません。

日本の固有種のシシャモと、カラフトシシャモの違いをご存知でしょうか?

シシャモは”サケ目キュウリウオ科シシャモ属”の魚ですが、カラフトシシャモも同じように”サケ目キュウリウオ科”に属する魚です。両者の違いは、カラフトシシャモ属というところだけで、それほどかけはなれた魚ではありません。もし、種類がかけ離れていたら代用品にはならないですから。

しかし、シシャモとカラフトシシャモを並べてみると、素人でも一目で違いが分かります。カラフトシシャモはとてもほっそりとしていますが、シシャモは肥えて丸みを帯びた外見をしています。また、鱗(うろこ)の大きさや口の大きさもそれぞれ違い、注意してシシャモとカラフトシシャモを観察すれば、まったく別種類の魚であると分かります。

しかし、味はカラフトシシャモの方が馴染みが深いといえるかもしれません。大半のスーパーマーケットに並ぶのはカラフトシシャモですから、当然味もカラフトシシャモです。私たち日本人は、このカラフトシシャモの味に慣れてしまっているといえます。

先ほどお伝えした通り、現在シシャモは貴重な魚ですから、一般の食卓に並ぶことはめったにありません。コレが理由で、私達は「シシャモの味」=「カラフトシシャモの味」という風に認識しているのかもしれません。
(Photo by Andrea Pokrzywinski, Peter Johnsen)

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