水陸両用ホバークラフト
水上を走るホバークラフトを見たことはあるでしょうか。ホバークラフトは平面地ならば地上・水上・雪上どこでも進むことができますが、日本では水上を走ることが多いことから船舶に分類されています。
実は「ホバークラフト」というのは商標で、呼称としては「エアクッション艇」と言います。しかしメディアなどでもホバークラフトと呼ばれることがほとんどで、大分などの一部地域では「ホーバー」と呼ばれることもあります。
ホバークラフトの長短所
ホバークラフトの長所はその水陸両用性にあります。普通の船舶に比べてかなり速い速度で走ることができ、浅瀬や湿地などでも多少の凹凸ならばスピードを落とすことなく走行することができます。また、環境に与える影響が少ないことも魅力の一つです。
逆に短所としては普通の船舶に比べて消費するエネルギーが大きいため騒音がうるさい、運用コストが掛かる、陸上と水上で異なる法律の規制を受けることになる、などがあります。
民間航路では姿を消す
そんなホバークラフトですが、2009年ごろまでは各地の民間定期航路で運航している様を見ることができました。しかし現在では大分空港航路の廃止を最後に日本の民間定期航路からは完全に姿を消しました。ホバークラフトは一時期は積極的に民間へと投入されていましたが、現在では世界的に見ても民間定期航路で運用されているのはイギリスのみとなってしまったようです。ホバークラフトを交通機関として運用した場合、長所以上に騒音やコストなどの短所がネックとなってしまったのです。
様々な場面で活躍
しかし、交通機関として以外にもホバークラフトが活躍している場所はあります。
例えばカナダにおいてはホバークラフトが砕氷船として使用されています。氷上を難なく走ることができ、自重で氷を割って進むことができます。また、レジャー用として一人乗りのホバークラフトなども登場しています。水上バイクのような使い勝手でレスキュー活動にも使用されている場面も見られます。
軍事用としては、ホバークラフトはもともと近海や浅瀬、哨戒などでの戦いに投入されていましたが、大型化の成功や性能の向上に伴って上陸戦にも利用されるようになりました。
このようにホバークラフトは民間航路では淘汰されたものの、その特性を活かした活躍の場を着々と広げているのです。
(Photo by Klaus with K)