夢の太陽エネルギー
子供のころ、誰でも一度は未来の科学について思いを馳せた経験はあるのではないでしょうか。タイムマシーンや人と変わらない動きをするロボット、空を飛ぶ自働車。
残念ながら今現在の科学力をもってしてもそこまでの科学力は実現されていません。しかし科学は日進月歩で進化し続けています。空を飛ぶ自働車は未だ開発されてはいませんが、「ソーラーカー」はかなり革新的な段階にまできています。
ソーラーカーとは太陽電池を電源として、電気モーターで走ることができる自動車です。電気で走る電気自動車が台頭してきている現在ですが、ソーラーカーは完全に太陽エネルギーで動きます。ガソリンを燃やし、排気ガスをまき散らしながら走っていた一昔前の車と比べると、そのエコロジー性は革命的と言えます。
世界初のソーラーカー
実際に人間が乗車して走ったソーラーカーは、インターナショナル・レクティファイア社が1960年に太陽電池の実用アピール用に市販車を改造して作った「ソーラーキング」だと言われています。
世界初のソーラーカーであるソーラーキングは、ロンドンで行われたデモ展で、時速30キロほどで人を乗せて走行しました。しかし、もっとゆっくりの速度で走行したとしても距離にして80キロメートルほど走った後はバッテリーが切れ、10時間ほどの充電を行わなければ再度走り出すことが出来なかったそうです。とはいえ、50年以上も昔にソーラーカーが存在していたことに驚きですね。
小説の世界が先?
文学の世界で初めてソーラーカーが登場したのは、アメリカの作家ロバート・ハインラインが1940年に発表したSF小説「疎外地」であり、太陽エネルギーで動く乗り物「steel tortoise」が登場していました。
半導体の基礎現象すら見出されていない時代に、太陽エネルギーを生活の糧へと変換する技術を人間が空想していたという事実は、現代に生きる私たちの未来にも夢を抱かせてくれます。
現在のソーラーカーは
東海大学の開発したソーラーカーが隔年開催されている、世界最高レベルといわれるオーストラリア縦断のソーラーカーレースで、2009年2011年と連覇を成し遂げました。
東海大学のソーラーカーは3000キロにも及ぶ道のりを90キロ超の速度で走破したそうです。動きも非常にしなやかで、安全性に優れた今のソーラーカーは、昔のものに比べれば、まさにSFの世界の存在と言えるでしょう。
科学の進歩とは、不可能を可能にしてしまうものなのです。
(Photo by Hideki Kimura, Kouhei Sagawa, Mike-obermeyer, Jijuchackungal)