葬式でキクの花が使われる理由

キクの花と言えば、日本ではあまり良いイメージがない花です。キクはお葬式に使うというイメージがあります。

キクを葬儀に使う風習は、明治以降の文化だと言われています。フランスでは祭壇(さいだん)にキクの花をかざる文化があったため、西洋文化に影響されるうちに、この風習が広まった説が非常に濃厚です。
キクの原産国は中国ですが、キクの花が一度西洋に伝わったため、このような状況になったと考えられています。実際に、西ヨーロッパではキクの花がお墓参りに使われることがよくあります。
キクには、邪気払いや無病息災、延命長寿と言った意味があります。そのため、葬儀とは関係ない花のようにも感じる人も多いでしょう。しかし、キクは栽培しやすく寿命が長くて、独特な香りがあります。このキクの香りには人を落ち着かせる効果があり、葬式で悲しんでいる親族を安らかな気持ちにしてくれます。
このような理由から、キクが葬儀に使われるようになったと考えられています。キクはとても美しいですが、プレゼントやお見舞いに贈ると、葬儀をイメージさせてしまうのでやめておきましょう。

菊花賞のレース名の由来

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競馬のレースの一つである菊花賞は、10月中旬から下旬の頃に行われます。3,000mと走行距離が長いため、競走馬のスタミナが試されるレースです。菊花賞には「最も強い馬が勝つ」というキャッチコピーもあり、現3歳の牡馬の中から最強の馬を決定する花形レースです。
一般的に、キクの花が咲くのが10月末から12月下旬といわれています。日本中でキクの展覧会が行われるのもこの時期が一番多いです。
菊花賞は文字通りキクの花を指しています。日本の季節感を表すレースの名前にふさわしいということで、1948年に菊花賞と名付けられました。

キクの花の起源

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キクの花の起源は日本と中国のどちらであるか説が分かれています。そのため、様々な意見がありますが、ここでは両方の説について紹介します。
まず日本発祥の説ですね。『キクは沢山の小さな花で構成されている花だから、”くくる”という言葉で表現された。そこから転じて、くくとなり、現在のキクとなった』といわれています。その後日本から中国にククとして渡わり、キクという名称になまって再度日本に伝わったといわれています。
その一方で中国発祥の説ですね。キクは奈良朝時代の日本に伝わったという記録があります。大言海(だいげんかい)という古書には、「カワラヨモギ(現在のノギク)は中国の種である」という説も合わせて残されています。

日本国民とキクの花の関係性

キクの花と言えば、日本を象徴する花です。在来種かどうかで説が分かれますが、基本的には、日本国民にとっては国花に近い花です。

例えば、キクの花は天皇家の紋章として使われています。菊花紋章とも言われていますが、既に鎌倉時代には後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)が使っていました。後鳥羽上皇は、特にキクの花を愛していたことから、天皇の印として使用していました。

その後も、多くの天皇がキクの花を自らの印として使用しました。その後、菊花紋章を天皇家の紋章とすることが習慣となりました。これが理由で、現在も天皇家の紋章として使われています。
また、パスポートにはキクの花をモチーフにデザインした花の絵があります。デザイン性が高いため、非常に見栄えが良いと言うことも理由の1つでしょう。しかし、それだけではなく、キクは日本国民らしさを表す花だから、パスポートに絵が描かれたと考えられています。

(Photo by Audrey, Joachimj)

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