ほうれん草の熱

ほとんどの野菜は収穫されてからも、実はまだ生きています。つまり呼吸をしているという意味で、野菜は呼吸をするときに熱を出すといわれています。たとえば、収穫した野菜をダンボールなどに入れてフタをするとしましょう。すると、段ボールの中に野菜の熱がこもってしまいます。

温度が上がればあがるほど、野菜の呼吸が盛んになり、どんどん発熱します。すると、野菜自体もあたたかくなってしまうため、野菜の味が落ちてしまいます。

ちなみに、野菜の種類によって呼吸するときの発熱量が違うといわれています。特に発熱しやすいのは、ほうれん草、さやえんどう、さやいんげん、カリフラワーアスパラガスなどといわれています。つぎにキュウリやキャべツ、トマトも発熱しやすいといわれています。その一方で、ジャガイモやタマネギはあまり発熱しないようです。

カリフラワーやホウレンソウといった発熱量の多い野菜ほど、すぐに味が落ちてしまいます。発熱しやすい野菜は箱にフタが無いか、あったとしても半分だけということがあります。これは野菜によって発熱量が違うからでしょう。ちなみに、ジャガイモやたまねぎは発熱しにくいのでフタをすることが多いです。

ところで、野菜の呼吸の方法には3種類があるのをご存知ですか?ひとつめに、収穫後に呼吸がもっとも盛んで、徐々に呼吸しなくなるものがあります。ふたつめに収穫直後は呼吸しなくても、途中で呼吸が盛んになり、また落ち着くものがあります。さいごに、収穫後からしばらく経ってから盛んになるものがあるといわれています。ほとんどの野菜は、収穫後にもっとも盛んになり徐々に低下していくものがパターンが大半のようです。

ほうれん草のビタミンC

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年中、収穫できる野菜でも季節によって栄養の多かったり少なかったりします。たとえば夏よりも冬の方が、ほうれん草のビタミンCが3倍多いといわれています。いろいろなビタミンの中でも、特にビタミンCは季節によってかなり変化するといわれていますが、ほうれん草がダントツで変化するようです。

野菜には育ちやすい時期があり、それを旬といいます。旬の時期に育つ野菜は栄養満点で、1年の中で一番味がいいといえます。今では、栽培の技術が進歩したおかげで、一年中どんな野菜も手に入ります。でも、やっぱり旬の野菜が栄養満点で一番美味しいといえるでしょう。

ほうれん草は夏でも売っていますが、本当は冬が旬のやさいです。そして、ほうれん草は冬の寒さがあるからこそ、栄養たっぷりで甘くなるといわれています。

ほうれん草をゆでるときはたっぷりの湯で

ほうれん草を食べる時は、だいたいの方が茹でてアク抜きをすると思います。ちなみに昔から、ほうれん草を茹でるときはたっぷりのお湯で茹でなさいといわれていますが、この理由を知っていますか?

ほうれん草は、すばやく茹でるとビタミンCなどの栄養がなくなりません。茹で時間がポイントといえます。お湯が少ない場合、ほうれん草を入れると湯温度が急激に低下して、沸騰するまで時間がかかり、茹で時間が長くなります。ですからたっぷりのお湯で茹でたほうが、ビタミンも損なわずに、アク抜きもしやすいので理想といえるでしょう。

アクの主成分である「シュウ酸」という物質はほうれん草にたくさん含まれています。シュウ酸はカルシウムと結びつく特徴があり、カルシウムの栄養を減らして結石(けっせき)の原因にもなるといわれています。

こういうことから、ほうれん草のアクを抜くときは、たっぷりの湯で素早く茹でるのがコツといえます。

(Photo by Krish Dulal, gran)

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