ニンニクの芽は、実は茎の部分といわれています

スーパーでよく見る「ニンニクの芽」というのは、本当はニンニクの芽ではありません。「ニンニクの芽」として売られているものは、実はニンニクの茎(くき)です。見た目とネーミングのギャップに違和感を持っていた人も多いと思います。

ニンニクはユリ科の多年草で、土の中に鱗茎(りんけい)を作ります。通常、ニンニクと呼ばれるのはこの鱗茎のことを指しています。

日本では、ニンニクといえば鱗茎の部分を食べてきました。ところが、中国ではニンニクの葉や茎もすべて食べていました。後に日本に伝わった時も「ニンニクの茎」ではなく「ニンニクの芽」として名づけられたことから、それ以来ずっと「ニンニクの芽」と呼ばれています。

ニンニクの中には、この「ニンニクの芽(茎ニンニク)」専用のものもあります。それは茎が良く伸び柔らかいまま成長するといわれています。そして、ニンニクの芽(茎ニンニク)には通常、我々がニンニクとして食している鱗茎(りんけい)のような強いニオイはありません。むしろ、甘味があって、カロテン、ビタミンCなどの栄養がたっぷり含まれています。

ニンニクで元気になるわけ

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ニンニクを食べると元気になると言われていますよね。料理以外にもニンニクエキスがサプリメントになったり、ニンニク注射なるものがあったりと、とにかく元気が出ることで有名です。では、なぜニンニクを食べるとで元気が出るのでしょうか?

ニンニクといえば、あの強い刺激臭が特徴的ですね。実は、あのニオイが元気の素となっているのです。ニンニクの匂いの元はアリインという物質といわれています。ニンニクの薄皮をむいただけでは、それほど匂いはありません。しかし、刻んだりすりおろしたりすると、アミノ酸の一種である”アリイン”が、”アリシン”という別の物質に変化して、すごいニオイを出します。

このアリシンはビタミンB1と結合するとアリチミンという物質に変化して、ビタミンB1が壊れません。そして身体に吸収されると、ビタミンB1に戻り効果を発揮すると言われています。普通にビタミンB1を摂取すると、一定量以上は身体に吸収されません。ところが、アリシンと結合することにより、アリチアミンに変化すると身体にドンドン吸収されるということです。

そして、このニンニクのビタミンB1には体内の疲労物質をやっつける効果があります。ニンニクには疲労回復のほかに、抗酸化作用や抗菌、食欲増進、発ガン抑制や血栓(けっせん)、動脈硬化にも効果があります。ニンニクと一緒にビタミンB1を含む食べ物と合わせて食べることで、さらにすごい効果が期待できます。

ちなみに、ニンニクの抗酸化作用は野菜の中ではもっとも強いとされています。

魔除けとしてのニンニク

ニンニクは古代エジプトでも栽培されており、ピラミッド建設の労働者の精力剤として大人気でした。また、ツタンカーメン王の墓からはニンニクが発見されたため、ニンニクは食用以外にも、魔よけとして使われていたようです。

実際、今もニンニクは魔よけとして使われています。ドラキュラとニンニクというのも有名でご存知の方も多いでしょう。昔の人は、ニンニクの強烈なニオイが悪霊をやっつけると思っていたのでしょう。ちなみに、当時はまだニンニクの効能も解明されていませんでした。ところが、「ニンニクを食べただけで元気になる」のは、ニンニクには不思議な魔力かなにかがあると思われていたのでしょう。これが理由で、ニンニクは昔から民間療法にも多く用いられてきました。

日本でも昔からニンニクを供え物として使用したり、戸口に吊るすなど、魔除けの風習が残っている地方もあります。仏教の世界では、「ニンニクを食べると精力がつき過ぎで修行に支障をきたす」とされており、禁止になりました。

(Photo by Rüdiger Wölk , BrokenSphere)

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